◆ モモ炭そ病 ◆
福島県において主に発生している本病の病原菌はG.cingulateによるものと考えられ、モモ以外の果樹類やマメ科木本のニセアカシアやハギにも寄生する病原菌であり、多雨多湿条件が続くとこれらの植物と隣接している場合には相互に伝染すると考えられる。モモを対象とする防除時期は幼果期と収穫期に入る直前頃からの予防散布となるが、幼果期にはアミスター10フロアブル1,000倍、成熟期に入る前頃からの防除薬剤としてはフリントフロアブル25 2,000倍、ナリアWDG 2,000倍、ナティーボフロアブル2,000倍またはオンリーワンフロアブル2,000倍が登録があり、これらから選択して使用する。但し、前述した5剤にはDMI剤、QoI剤、SDHI剤の単成分または混合剤として有効成分が含まれる殺菌剤であり、それぞれは薬剤耐性菌出現リスクが中〜高であるので注意が必要である。
しかし、灰星病防除剤として収穫期直前に使用されるベルクート水和剤や前記オンリーワンフロアブル以外のDMI剤は本病に対して効果が劣るので、例年本病の発生が多い園ではこれらの殺菌剤の使用は控える必要がある。