◆ モモ灰星病 ◆
本病による実被害は開花期の花腐れと収穫期以降の果実腐敗である。いずれの被害に対しても有効な薬剤が多く以前に比べれば選択肢の幅は広くなり、予防散布による防除を徹底すれば防除可能となった。まず、開花期前後の花腐れ防除対策ではDMI剤として(インダーフロアブル5,000倍、オンリーワンフロアブル2,000倍、サンリット水和剤2,000倍、スコア水和剤2,000倍)、QoI剤として(ストロビードライフロアブル2,000倍、ファンタジスタ顆粒水和剤3,000倍、アミスター10フロアブル)、ジカルボキシイミド剤として(スミレックス水和剤1,500倍、ロブラール水和剤1,500倍)のうちから1剤を選択して使用する。なお、開花期に低温多湿条件が続くようであれば本病とともに灰色かび病との同時防除を考慮する必要があり、この場合はロブラール水和剤1,500倍かパスワード顆粒水和剤1,500倍を使用する。
本病は果実成熟期に近づくに従って果実感受性も急激に高まり重要防除時期となるが、また、収穫予定35日前頃からはホモプシス腐敗病の防除時期に当たるので、本病に対しても効果がある薬剤を選択して対応する必要がある。収穫予定21日前頃から灰星病に対する最重要防除時期となりダコレート水和剤1,000倍、ナリアWDG 2,000倍を中心に散布間隔を約10日間隔で組み立てる。この2剤を散布したのちは上記のDMI剤、QoI剤、ジカルボキシイミド剤に加え、ベルクート水和剤1,000倍の中から薬剤耐性菌出現リスクを考慮したローテーションにより薬剤を選択して防除する
福島県における主力品種の「あかつき」は気候温暖化に伴って梅雨末期に収穫時期となることが多く、着色管理による反射シート敷設や枝折れ被害軽減のための支柱などによりスピードスプレーヤによる防除が困難となる時期でもあるが、多雨条件が続くようであれば手散布による防除も必要となる。
本病は出荷後の流通過程で発病することがあり、この場合、産地の評価を著しく損なうことになる。とくに共同選果場などでのチェックは慎重に行う必要がある。