◆ リンゴ炭そ病 ◆
本病原菌として2種が知られているが、近年の分類学的再検討により複数種へ順次分割されつつある。本病はボルドー液防除体系から無ボルドー液防除体系に移行する過程で発生拡大傾向による果実被害が顕著になった病害の一つである。病原菌は5月〜秋期まで認められるが、梅雨期の6〜7月に高温多雨条件で推移すると、その後に果実発病が多くなる。したがってこの時期の防除は重要であり輪紋病や褐斑病の同時防除をかねてオーソサイド水和剤80 600倍やオキシラン水和剤500倍のキャプタンを成分とした製剤やナリアWDG2,000倍またはキノンドー水和剤80 1,200倍により防除する。またボルドー液防除体系により4-12式ボルドー液やICボルドー412 30倍の防除はかなり有効である。8月下旬頃から「陽光」「ジョナゴールド」等で果実腐敗が認めれるときには、ほぼ炭疽病を疑う必要があり、この場合果実から果実への二次感染があるので追加防除が必要となる。この場合はQoI系殺菌剤からストロビードライフロアブル3,000倍またはフリントフロアブル25 3,000倍の効果が高いが、すでにこれらの系統では薬剤耐性菌が知られており、効果が認められないようであればストライド顆粒水和剤1,500倍を使用する。但し、ストライド顆粒水和剤は夏期高温時には薬害発生の恐れがあるので高温時の使用は控える必要がある。