◆ リンゴ白紋羽病 ◆
 本病は紫紋羽病と同様、リンゴ樹の根部が侵されて枯死に至る病害であり、他の土壌病害と共通して防除の難しい病害の一つである。本病菌は土壌環境にもよるが比較的浅い環境で生息しており、この面で紫紋羽病菌とは異なる。
 白紋羽病及び紫紋羽病の薬剤防除による方法については共通するところが多いが、農薬登録では薬剤の種類や使用濃度及び使用方法など微妙に異なることがあるので使用に当たっては登録要件について十分注意して処理する必要がある。
【新植や改植時の土壌消毒】薬剤による土壌消毒は、クロールピクリンでは1つの穴に5〜10mlを深さ15cmの位置に灌注処理し、その後注入穴は土で塞ぐ。またバスアミド微粒剤やガスタード微粒剤では夏期〜秋期に50〜100g/uをほ場に散布し、ロータリー耕耘などで軽く均一に土壌混和処理したのち、いずれもポリフィルムで覆い3週間以上保持する。その後覆いを取り、十分ガス抜きをして1週間以上経過後、ガスが抜けたことを確認した後に植え付ける。
【定植苗の根部への薬剤処理】新植や改植の植え付け時にはフロンサイドSC500倍に20分間またはトップジンM水和剤500倍液に10分間またはベンレート水和剤1,000倍では10〜30分間のいずれかの方法で根部浸漬してから定植する。
【生育中の樹に対する薬剤防除】罹病樹の樹冠下の周囲の根を露出させて掘り起こし、罹病根を残さないように取り除き処理することが望ましいが、動力噴霧機のホース先端に潅注用ノズルを装着し、幹周囲の土中に突き刺して潅注する方法もある。薬剤はフロンサイドSC500倍50〜100?/樹または1,000倍100〜200?/樹やトップジンM水和剤500〜1,000倍を灌注しながらを掘り起こした土壌で埋め戻すようにする。薬剤処理後の1年は着果負担軽減のため全摘果とし、処理3年後までは着果量を半分以下にするとともに、強せん定を控えるなど樹勢回復に努めるようにすると防除効果を実感できる。なお、埋め戻す際に土壌改良を目的にハイフミンハイブリッドG(日本肥糧(株)製)を、わい性台木の場合5〜10kg程度/樹に適量の緩効性肥料を同時に施用すると根の発根促進が助長される。また、堆肥施用の場合は未熟なオガクズやバーク堆肥、未分解の枝などを多く含むCN比の値の高い堆肥は病原菌を繁殖させる原因となるので施用を避けること。