◆ リンゴ黒星病 ◆
本病の越冬伝染源は主に前年の罹病落葉上に形成された子のう殻中の子のう胞子と枝梢や冬芽の鱗片中などの病斑上に形成された分生胞子の伝搬によるものと考えられ、感染は10〜20℃の比較的低温条件下でも行われる。したがって例年発生が認められるほ場では展葉初期からの薬剤防除が重要であり、展葉初期には腐らん病との同時防除をかねてベフラン液剤25 1,000倍により防除する。また、開花直前から落花直後頃までは子のう胞子の飛散ピークとなるのでこの時期は最重要防除時期となる。開花直前と落花直後の2回、主として下記のDMI剤にチオノックフロアブル、トレノックスフロアブル500またはジマンダイセン水和剤600倍と混用して散布する。なおDMI剤に対する薬剤耐性菌により効果の低下がリンゴ主産県では顕著となっており、DMI剤に代えてSDHI剤のうちフルーツセイバー1,500倍、カナメフロアブル4,000倍やパレード15フロアブル2,000倍を使用するがSDHI剤はこの時期の赤星病防除剤としては効果がやや劣り、またうどんこ病に対する薬剤耐性菌による効果の低下が懸念されており、この系統の薬剤は年間あわせて2回以内にとどめる必要がある。最近、ミギワ20フロアブル2,000〜4,000倍の効果が高く新規系統薬剤として、この時期の防除剤として注目されている。
落花2週間後頃から幼果への感染が認められるようであればユニックス顆粒水和剤47 1,500倍が有効であり、その後も発病が継続するようであれば、7月下旬以降、オーソサイド水和剤80 600倍やベルクート水和剤1,000倍で防除効果が期待できる。
QoI剤のストロビードライフロアブルやフロントフロアブル25 3,000倍も本病に対して効果が高いが、本系統の薬剤は薬剤耐性菌出現リスクが高く、本病に対する防除薬剤としての使用は控えることが望ましい。
□ 黒星病に有効なDMI剤
アンビルフロアブル 1,000倍
インダーフロアブル 5,000倍
オンリーワンフロアブル 2,000倍
サルバトーレME 3,000倍
サンリット水和剤 3,000倍
スコア顆粒水和剤 3,000倍
トリフミン水和剤 3,000倍
ラリー水和剤 3,000倍
ルビゲン水和剤 3,000倍