◆ リンゴ輪紋病 ◆
 本病の越冬伝染源は枝梢部のいぼ皮病斑に形成された柄子殻中の柄胞子が降雨等により濡れると、雨滴に混じって伝搬し、果実では果点、毛茸痕や傷口を侵入門戸として感染し、長期間の潜伏感染を経て「ふじ」では8月下旬頃に果実が成熟期に入る頃から発病する。
発病が認められるようになった時期の薬剤による防除対策はないので、感染時期における予防が重要となる。柄胞子の飛散は濡れ条件があれば4〜10月まで生育期間全般にわたって続けられるが、果実が感染しやすい時期(果実感受性が高い時期)は「ふじ」では6〜8月上旬頃までであり、特に梅雨期に高温多雨条件の機会が多い6月下旬〜7月下旬は感染盛期であり最重要防除時期となる。この時期の薬剤散布はオーソサイド水和剤80 600倍、オキシラン水和剤500倍、ナリアWDG 2,000倍またはベフキノン水和剤1,000倍を10日間隔での散布実施すると有効である。ボルドー液防除体系では4-12式ボルドー液やICボルドー412 30倍による防除は上記有機殺菌剤よりも高い防除効果が得られ、14日間隔での防除が可能となるが、多雨条件では無機銅による薬害を生じることがあるので、4-12式ボルドー液の調製に当たっては特に作成手順を遵守する。また、この時期は斑点落葉病、炭そ病や褐斑病に対する防除も考慮しながら散布ムラがないように丁寧な散布が必要である。なお、ベフキノン水和剤はリグニンスルホン酸カルシウムを含む展着剤(ダイン、シンダイン等)と混用すると物理性が悪くなるので混用を避ける必要がある。また、枝梢部のいぼ皮病に対しては休眠期に病患部に粗皮削りを施し、石灰硫黄合剤10倍を散布するとともに、生育期には上記の薬剤を枝幹部にも十分かかるように散布することが重要である。